コラム

美食の秋、「胃アニサキス症」にご注意を

ドクター解説


秋になると、サンマやサバ、イワシ、サケなど脂がのった美味しい魚介類が旬を迎えます。お刺身や寿司など、生で食べる機会も増えるかもしれません。
しかし、この季節に注意が必要なのが「胃アニサキス症」です。今回は、胃アニサキス症の原因や症状、治療、そして予防法について、分かりやすくお伝えします。

 

胃アニサキス症とは?

胃アニサキス症は、アニサキスという寄生虫が魚介類に寄生しており、その魚を生で食べることで人の体内に入り、主に胃の壁に寄生して炎症を引き起こす病気です。サンマ、サバ、イワシ、サケ、アジなどが主な感染源となる魚です。

症状は?

生の魚を食べた後、数時間から数十時間以内に以下のような症状が現れることがあります:

  • 激しい腹痛:胃の中でアニサキス幼虫が胃壁に入り込むことで、急激な痛みが生じます。
  • 吐き気・嘔吐:強い不快感や吐き気が伴い、嘔吐を引き起こすこともあります。
  • 消化不良や胃の不快感:軽度の場合、単なる胃のむかつきや不快感として現れることもあります。

症状が現れた際は、放置せず早めに医療機関を受診しましょう。

胃アニサキス症の治療

もし胃アニサキス症が疑われる場合、内視鏡検査(胃カメラ)を用いてアニサキス幼虫を確認し、その場で除去することができます。アニサキスは一度体内に入ると自然に排出されることはないため、内視鏡で取り除くことが最も効果的な治療法です。

予防方法

胃アニサキス症を予防するには、いくつかのポイントを押さえることが重要です:

  • 新鮮な魚を選ぶ:魚を生で食べる際は、できるだけ新鮮なものを選びましょう。ただし、新鮮さがアニサキスの有無を保証するものではないことも理解しておく必要があります。
  • 加熱する:アニサキスは70度以上で加熱すれば死滅します。焼き魚や煮魚などの調理法も安全です。
  • 冷凍する:-20度以下で24時間以上冷凍することで、アニサキス幼虫は死滅します。家庭用冷凍庫での冷凍保存が予防に有効です。

まとめ

秋の味覚を楽しむためには、胃アニサキス症への注意が必要です。魚介類の安全な取り扱いや調理方法を心がけることで、リスクを大幅に減らすことができます。症状が現れた場合は早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けましょう。当クリニックでは、胃アニサキス症をはじめ、様々な消化器の症状に対して迅速な診断と治療を行っています。秋の美味しい食事を安心して楽しんでいただくためにも、何か気になる症状があればお気軽にご相談ください。

来院時マスク着用のお願い

発熱やのどの痛みなど、かぜ症状がある場合は来院時マスクの着用をお願いします。